老後資金はiDeCoと財産分与で!?
自身の公的年金の受給額が“想像よりも多かった”とはいえ、先述の通り、年金だけでは生活は厳しそうです。
郁美さんに「(自身の年金13万円と年金分割の1万円に)あといくらあれば生活できそうですか?」と、聞いたところ「3万円」との回答でした。仮に65歳〜95歳までを老後として不足額を計算すると、3万円×12カ月×30年=1080万円が公的年金では賄えない金額になります。
実はすでに郁美さんは月1万円をiDeCoで積み立てています。しかし、残念ながらこのペースだと目標額は作れそうにありません。まずは積立額を上限額の2万3000円に引き上げることにしました。しかし、それでもまだ600万円ほど不足しそうでした。ただ、この点は、財産分与を考えると、準備できるかもしれないとのことでした。
財産分与は2人の話し合いになりますから、不確定ではあるものの、この金額を見込めるなら、離婚後の生活が成り立つかもしれません。
あとはiDeCoの運用に期待したいところです。郁美さんは、1年前に運用商品を預金と債券から外国株式50%、外国債券50%に変更したそうです。「積立期間があと約10年なので、なるべく安全運用が良いと思うのですが、それだと増えないし、外国株式も買ってみました」と、おっしゃっていました。しかし、iDeCoの加入可能年齢は2022年5月、法改正によって要件を満たせば65歳未満まで加入できるようになりました。
郁美さんに、65歳になるまで会社員として働くなら65歳までiDeCoの積み立ては可能であることを伝えると、「あと15年あるのですね、じゃあ、株式の割合をもう少し増やそうかな」とおっしゃっていました。iDeCoへ拠出できる期間が延びることで、元本を5年分増やせるだけでなく、さらに5年もの時間を味方に運用を続けることができます。あと15年あると考えれば、株式を一定割合運用することは合理的と言えます。さらに、65歳まで会社員を続けるなら、公的年金も増えますね。
相談後、郁美さんは1人でどうにか生活できることを知り、晴れやかな気分になったようです。いつもは夫にイライラしていますが、「少し余裕を持って接することができそうです」と言っていました。
夫婦問題はコミュニケーションの問題です。イライラが多い日常だと、まともに会話は成り立ちません。しかし、余裕を持って接することができれば、夫婦関係に変化が現れるはずです。それが、修復に向かうか離婚に向かうかは分かりませんが、どちらにしろ郁美さんにとって良い結果をもたらしてくれると期待しています。