小中麻衣さん(仮名)は今、経済的に深刻な問題を抱えています。「ついにクレカが利用停止になっちゃって。夫もうすうす気付いているようですが、自分からは打ち明けられません。でも一番問題なのは、こんな状況になってもスタジアム狂いが止められないことです」。

小中さんがJ1のある選手にハマったのは、結婚後、編集アシスタントとして再就職した出版社の女性社員にゲーム観戦に誘われたことがきっかけでした。最初は「仕事よりプライベート」の姿勢が露骨で職場で危険人物扱いされているその女性社員を避けていたという小中さん。「なぜ自分がこうなってしまったのか分からない。そもそも、新しい生きがいを見つけるつもりで編集アシスタントになったのに……」と嘆息する小中さんに、現在に至るまでの話を聞きました。

〈小中麻衣さんプロフィール〉

神奈川県在住
32歳
女性
出版社編集アシスタント
会社員の夫と2人暮らし
金融資産500万円(世帯)

旅行会社で燃え尽きコロナ禍で退職

大学卒業後、第一志望だった旅行関係の会社に入り、企画や添乗などフル回転で働きました。やりたい仕事でしたから最初の数年間は楽しかったのですが、給料は安い上になかなか上がらず、先輩たちを見ていて社内でのキャリアパスも描けなかったことから、次第にやる気をなくしていきました。

そんな時にコロナのパンデミックが起こり、高校時代から付き合っていた夫との結婚を機に逃げるように会社を辞めました。上司や同僚からは驚かれましたが、業界全体の先行きが見えず社内にリストラの嵐が吹き荒れる中、私だけ慰留されるということもありませんでした。

半年ほどは雇用保険の失業給付ももらえたので、コロナ禍だったこともあり、家でのんびり過ごしました。夫の在宅勤務が増えたことで一緒に買い物や料理をしたり、動画配信の映画や音楽ライブを見たりして、こういう暮らし方もありかもと思いました。

しかし、そんなのは最初のうちだけ。本来は外に出たいタイプなので、コロナが沈静化して日常が戻るにつれ、仕事をしたい気持ちが強くなりました。

そんな時に応募したのが大手出版社の編集アシスタントの仕事でした。旅行会社でパンフレットを作成していたことがあり、雑誌の編集には興味がありました。当時は20代で年齢的に若かったことも好感されたのでしょう。書類選考や面接を通り、採用通知を受け取りました。