AI(人工知能)先進国のアメリカでは、テック企業がエンジニアやAIで業務を代替可能なホワイトカラーの採用を圧縮するケースが続出しています。人手不足の日本でもAIの導入が拡大しており、“ホワイトカラー氷河期”の到来が予測されています。

栗原尚樹さん(仮名)の勤務先でも新年度から管理部門の業務の多くをAIに置き換えることで、ホワイトカラー系の新卒採用を見送りました。“人事部のエース”として新人事評価制度の開発を主導してきた栗原さんもリスキリングの対象となり、デジタル戦略部への異動の辞令が出たのです。

無力感を覚えた栗原さんは貯まっていた有休を消化し、7年ぶりに帰省して気分転換を図ろうとします。しかし、故郷で待ち受けていたのは栗原さんをさらに打ちのめす事実でした。

〈栗原尚樹さんプロフィール〉
東京都在住
45歳
男性
会社員
シングルで賃貸マンションに1人暮らし
金融資産1200万円

帰郷しても落ち着かない胸のざわつき

地方のターミナル駅で新幹線から在来線に乗り換えて30~40分経つと、窓の外には桜を遠景に春起こしをした田んぼが広がります。

子どもの頃から馴染んだ故郷の風景であり、昔はこの風景が見えてくると帰ってきたなという実感が湧いたものですが、今回は何となく落ち着かない気分です。

コロナ禍もあって帰郷は実に7年ぶり。企業の人事部で働く私は、ここ数年、人的資本経営を踏まえた新しい人事評価制度の導入に向け、休日返上で仕事に邁進する日々を送ってきました。

制度も本格運用となり、次は制度管理者としての新しいタスクが始まると思っていたら、予想外の展開が待っていました。