「予想外の辞令」に人事部のエースが抱えた無力感
勤務先は比較的早くAIを導入していましたが、新年度から管理部門の多くの業務をAIに置き換え、余剰人員をリスキリングでデジタル部門に回し、ホワイトカラー系の新卒採用は行わないことを決定したのです。
ショックだったのは、私自身もリスキリングの対象になったことでした。
私は新卒で入社後に現場を経験し、28歳で本社の人事部に異動してからは人事部一筋で、透明で公平、そして社員にとって納得感のある人事評価制度の運用に尽力してきました。
上下関係を重んじる体育会系の性格で、一度決めたら突き進む実行力もある方なので、困難の中でも結果を出してきましたし、上司や歴代の部長にもかわいがってもらいました。
ですから、全社的なAI改革があったとしても、自分はこのまま人事に残って、人事部の中でキャリアアップをしていくことになるだろうと漠然と考えていたのです。
それが突然、異動の辞令が出て驚く以上に戸惑いました。
辞令が出た日には直属の上司だった先輩社員と2人で飲みに行き、慰められました。
「お前はデジタルリテラシーも高いし、十分生き残っていける。人事部のエースとして意地を見せてやってくれよ」
大変ありがたい言葉ですが、素直に頷くことはできませんでした。
