<前編のあらすじ>

65歳以降も働く予定ですが、賞与はないものの給与が月50万円あるので、「在職老齢年金制度」で年金がカットされると思っています。

「年金のカットを避けるためには、給与を自主的に下げるしかないのか」とも思いましたが、一度年金事務所でくわしく聞いてみることに。

すると、窓口の担当者は「給与を下げる必要はない」と回答しました。一体なぜだったのでしょうか。

●前編:「何十年も払った年金なのになぜカットされるのか…」年金の支給カットに不満を抱く64歳男性…年金事務所で受けた「驚きの回答」

「在職老齢年金制度」の仕組み

年金を受給する人が働いて厚生年金に加入している場合、在職老齢年金制度の対象になります。①年金の月額と、②標準報酬月額、③直近1年の標準賞与額12分の1を合計して、51万円を超えると、超えた分の2分の1の年金が支給停止になります。

ただ、51万円だった基準額が、法改正によって、2026年度は65万円に変わります。

ここで①の「年金」とは報酬比例部分を指します。老齢厚生年金は報酬比例部分と経過的加算額に分かれていますが、そのうちの報酬比例部分だけが対象ということです。経過的加算額は除外され、また、老齢基礎年金も含まれません。つまり、カットされるのは年金全額ではありません。

昭さんの場合、年間240万円のうち、報酬比例部分は年間156万円、月額にすると13万円となる見込みでした。この部分だけがカット対象となります。

次に、②の標準報酬月額は、実際の給与に応じて、8万8000円(1等級)~65万円(32等級)に区分されています。昭さんの場合、月給が50万円程度となると、②標準報酬月額は50万円(27等級)となります。

そして、昭さんの場合、賞与はないため③は0円です。

すなわち、①13万円+②50万円+③0円=63万円で65万円以下のため、年金は支給停止されないことになります。仮に昭さんの標準報酬月額が1等級高い53万円(28等級)だと、①②③の合計が66万円となって、65万円基準を1万円超えることになるため、その2分の1である月額5000円(年額6万円)の支給停止が発生します。