給与を下げる必要はなかった

逆に、昭さんが当初考えていたように、給与を45万円(標準報酬月額では25等級・44万円)まで下げてしまうと、年金は全額支給されますが、給与収入が下がる分、総収入が減ることになります。

これを聞いた昭さんは制度の仕組みを理解し、今の給与のままでも年金はカットされないことを知って安心しました。「給与を下げなくてよさそうだ」と、引き続き月給50万円で勤務を続けることになったのでした。

以上のように、在職老齢年金制度で支給停止されるのはあくまで「基準額を超えた分の報酬比例部分の2分の1」になります。そのため、もし、年金と給与の合計が基準額を超えて年金が支給停止された場合でも、計算上、給与上昇分より年金カット分のほうが少ないはずなので、収入面では働くほうが得になるわけです。

年金の一部が支給停止されたとしても、「給与+年金の総合計」では増えているということです。

年金を受給できる年齢になっても、支給停止が気になるくらい、ある程度高い水準の給与や賞与をもらっている方には大事な話となります。在職老齢年金制度はどのような仕組みか、法改正によってどの程度影響を受けるか、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。

※本記事に登場する人物の名前はすべて仮名です。

※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。