<前編のあらすじ>

千葉県在住の戸部和子さん(仮名)は、高校時代の友人と3人で伊勢旅行に出かけることに。しかし、お嬢様気質の奈々子さん(仮名)と流行に敏感なデジタル派の若葉さん(仮名)は昔から性格が正反対。案の定、旅行前から不穏な空気が流れます。

さらに、一切現金を持ち歩かない“完全キャッシュレス派”の若葉さんの振る舞いが、式年遷宮を控えた伊勢への旅路で、戸部さんを巻き込む思わぬトラブルを引き起こします。

●前編:【エルメスの財布を「重そう」と嘲笑…完全キャッシュレス派の友人と行く伊勢旅行、出発前から漂う“一触即発”の不穏すぎる空気】

令和の聖地で露呈した“財布なし”の限界

高校時代の友人、奈々子と若葉との3日間の伊勢旅行。昔の2人の関係性を思うと少々不安でしたが、半面、家族以外との旅行なんて本当に久しぶりなので楽しみでもありました。

大学が春休みということもあり、家事は長女が引き受けてくれました。パート先の上司も「お伊勢さん、いいですね!皆の分もお参りしてきてくださいよ」と快く送り出してくれました。

かくして東京駅で奈々子や若葉と合流。新幹線で一路、名古屋へと向かったのです。

若葉が名古屋で是非連れて行きたいうなぎ屋さんがあるというので、そこで昼食を取ってから伊勢に向かうことにしました。平日でも行列ができるうなぎ屋さんらしく、確かにずいぶん並びましたが、ふわりと焼き上げたうなぎに甘みのあるたれが絶妙なうな重には、それだけの価値がありました。

うなぎ屋さんの所要時間が読めなかったため、当初は伊勢まで全席指定の近鉄特急を利用するつもりでしたが、自由席のある「快速みえ」に乗ることにしました。今思えば、これがケチのつき始めでした。

「快速みえ」はJR東海が運行する列車ですが、四日市の先の河原田から津までは第三セクターの伊勢鉄道(伊勢線)になります。そして、伊勢鉄道は今どき珍しく、ICカードやクレジットカードが使えないのです(来年春からは使用可能になるようです)。これは盲点でした。