専業主婦世帯は1980年には共働き世帯の倍近い数に上っていましたが、1990年代に立場が逆転、今や共働き世帯の3分の1程度にまで減少しています。女性のライフスタイルの変化に伴い、専業主婦世帯対応の社会政策も変わってきました。そうした中、“働くことにネガティブな専業主婦の妻”の扱いに苦慮しているというのが関東地方の信用金庫に勤務する高橋涼太さん(仮名)です。
「ダイバーシティというのは本来、多様な人材がお互いの価値観を認め合って共存することですよね? その意味では、妻が専業主婦を選ぶならそれを尊重したい。一方で、僕よりずっと優秀な妻は自分の能力を社会に還元すべきだと思いますし、我が家の家計のためにそうしてほしいという切なる願いもあります」。これから教育費のかかるお子さん2人と残高2500万円以上の住宅ローンを抱えて悩める高橋さんから、奥様への偽らざる心情を聞きました。
〈高橋涼太さんプロフィール〉
関東地方在住
40歳
男性
信用金庫勤務
専業主婦の妻、中学生の長女、小学生の長男の4人家族
金融資産650万円(学資保険など貯蓄性保険を除く)
「もっと残業したら?」現実感の薄い妻の要求
「今月から昇給のはずなのに、振り込み額、ほとんど増えてないよ。もっと残業した方がいいんじゃない?」
平日の朝、子どもたちが学校に向かった後、夫婦2人きりになった朝食の席で妻の才佳がとげとげしい声で言いました。
「はなは来年高校受験だし、陸も中学生になったら塾通いさせなきゃならないし、これから10年くらいは教育費が大変なんだから、パパ、頑張らないと!」
頑張らないとと言われても、最近は人事が部下に残業させるなとうるさい手前、課長の私が無駄に残業時間を増やすわけにもいきません。そもそも、昇給と言っても私の勤務先は地方の中小企業ですから、大企業のような5%以上の賃上げなんて夢のまた夢です。わずかな賃上げなど瞬く間に税金や社会保険料に吸収されてしまいます。
才佳にそうした理由を説明しても「自分の稼ぎが悪いのを棚に上げて」と非難の倍返しをされるだけですから、ここは説教の嵐が通り過ぎるのを待つしかありません。
朝からこういう話をされた日は気分もげんなりで、労働意欲も減退します。早めに家を出ようとしたら、「はい、忘れ物」と弁当バッグを渡されました。
