坂巻孝太さん(仮名)は金融機関が力を入れている富裕層向けのビジネスを担当しています。経営者や地主など富裕層との取引の窓口となり、直接富裕層に会って資産に関する話をする機会も多い業務です。花形部署にもかかわらず、最近は仕事のモチベーションがなかなか上がってこなくて困っていると言います。富裕層の関心が高いのは資産承継で、ついつい自分の家の相続と比べてしまうからです。坂巻さんは地方の出身で、“要らない相続”ばかりを抱えているからだと説明してくれました。最近も友人から相続税が高すぎるという愚痴を聞かされ、心の中では「相続税を払ってでも“要る相続”ができるのは勝ち組ってことだろ?」と毒づいていたのだとか。坂巻さんに“要らない相続”の具体的な中身と、それを抱えるジレンマについて聞きました。
〈坂巻孝太さんプロフィール〉
東京都在住
42歳
男性
金融機関勤務
会社員の妻、中学生の長女の3人家族
金融資産3500万円(世帯)
大学時代の親友と久しぶりの再会
大学の同期だった小林健吾とは同じワンダーフォーゲル部員で、在学中はしょっちゅうつるんでいたものです。就職した後も20代の頃は頻繁に会っていましたが、互いに家庭を持ち仕事も忙しくなってからは、年に1~2度飲みに行く程度に間遠になっていました。
そうした中で昨年、小林のお父さんが急死し、お通夜で久しぶりにお母さんとも顔を合わせました。
