<前編のあらすじ>
地方で建築会社を一人で経営する佐々木健一さん(63歳・仮名)。「社員がいないから社会保険なんて関係ない」と、厚生年金・健康保険には加入せずにきました。
ところが取引先の工務店が倒産し資金繰りに悩むさなか、日本年金機構から一通の封筒が届きます。年金事務所を訪れた佐々木さんは、担当者から「2年分遡って、およそ400万円の保険料を納付していただくことになります」と告げられ、耳を疑いました。
●前編:「社員がいないから社会保険は不要」と信じ続けた63歳社長…資金繰り悪化のさなか、追い打ちをかけるように届いた一通の封筒
顧問税理士からは何度も加入を勧められていた
仕事が減り始めたタイミングで、さらに400万円もの支払い。
佐々木さんは会社ではなく、個人で積み立てていた預金を取り崩して納付することになりました。
思い返せば、顧問税理士からは何度も加入を勧められていました。しかし、自分の思い込みに固執して耳を貸さず、やがて税理士も何も言わなくなったことをいいことに、そのまま放置していたのでした。
資金繰りに苦しみ、なぜ払わなければならないのか納得できないまま、納付することになりました。
厚生年金や健康保険については、多くの誤解があり、最も多いのが、アルバイトやパート社員の社会保険の加入義務についてです。
今回の事例のように、役員の社会保険の加入義務についての誤解も多く、本来ならば社会保険に加入しなければならない人が加入していないケースもあります。
会社の規模や労働時間など一定の条件を満たせば、社会保険への加入義務が発生し、それを知らずに今回のように後から高額な請求を受けることがあります。
その間に支払っていた国民年金保険料や国民健康保険料があればその分は還付される場合もありますが、大きな負担となることも多く、中にはパート社員の未適用で4000万円にもなる金額を支払った中小企業の事例もあります。
経営者側が制度を正しく理解しておく必要があることは当然として、厚生年金、健康保険料は労使折半で支払うものですので、会社側だけでなく雇われる側も正しく理解しておかないと後で発覚した場合には支払わなければなりません。