<前編のあらすじ>
小学1年生の息子・陽翔が夏休みに入り、専業主婦の葉月は朝から家事と遊び相手に追われていた。ようやく一息つけると思った昼下がり、隣県に住む義母・理香子が突然訪問してきた。
理香子は陽翔の遊び相手を熱心に務める一方、葉月にはお茶菓子や軽食を求める。葉月の負担は義母の訪問によってむしろ増えていく。
さらに理香子は数日おきに訪れるようになり、次第に遠慮も薄れていった。葉月は夏休み中ずっとこの状態が続くのではないかと不安を募らせていくのだった。
●前編【「あら、お茶だけ?」突然訪ねてきた義母からまさかの催促…夏休み中の嫁に積み重なる“おもてなし地獄”】
義母の訪問を夫に相談
陽翔が寝たあと、葉月はリビングで夫と向かい合った。
「ちょっと、お義母さんのことで話したいんだけど」
「母さんがどうかした?」
「夏休みに入ってから、もう何度も来てるでしょう。今日は着替えと洗面用具まで持ってきたのよ」
夫は眉を上げた。
「え、泊まるつもりだったの?」
「遅くなったら泊まればいいって。今日は帰ったけど、こっちの都合も何も聞かずに決められるのは困る」
「それはそうだな。今度から、泊まりたいときは先に俺たちの了承を取るように言っておくよ」
夫がすぐに認めたことで、葉月もひとまずうなずいた。ただ、問題はそれだけではない。
「正直、かなり疲れてるの。お義母さんが来るたびにずっと気を遣ってるから」
「でも母さん、陽翔とはずっと遊んでくれてるんだろ?」
「それはそうだけど」
「だったら、面倒見てもらえる分、少しは楽なんじゃないの?」
その一言に、葉月は腹の底がかっと熱くなった。
「全然休めてないよ。もちろん陽翔の相手をしてくれるのは助かってる。でも、お義母さんがいたら食事も飲み物も用意するし、何かしてる途中でも話しかけられたら手を止めるでしょう。陽翔だけじゃなくて、お義母さんのことまで気にしなくちゃいけないのよ」
夫は少し黙ってから、申し訳なさそうに頭をかいた。
「そうか。そこまでは考えてなかった」
「でしょうね」
その夜の話し合いは、理香子が泊まりたい場合は必ず事前に相談してもらうよう、夫から伝えることで、いったん決着した。しかし、布団に入ったあとも、葉月の頭には夫の言葉が残った。
――面倒見てもらえる分、少しは楽なんじゃないの?
理香子は家にいる間、きちんと陽翔の面倒を見ている。危険を感じたことはないし、むしろ葉月より真剣に遊びに付き合うことさえある。だったら、なぜ自分までずっとそばにいるのだろう。嫁の自分が義母をもてなさなければならない。知らず知らずのうちに、そう思い込んでいただけなのかもしれない。
「思い切って任せてみようかな」
