夫の言葉から生まれた新たな発想

数日後、理香子はまた葉月たちの家へやってきた。

「おばあちゃん、今日はカードやろう!」

「いいわよ。今度こそ負けないからね」

床にカードを広げる2人を見ながら、葉月は迷った末に声をかけた。

「お義母さん、お願いがあるんですけど」

「なあに?」

「少しの間、陽翔と2人でいてもらってもいいですか? ちょっと買い物に行きたくて」

言った途端、心臓が跳ねた。自分を置いて出かけるなんて、と嫌な顔をされるかもしれない。ところが理香子はあっさりうなずいた。

「いいわよ。陽翔と遊んでるから、行ってらっしゃい」

「え、いいんですか?」

「もちろん。あなたも私がいたら気を遣うでしょうけど、私だって、ずっと気を遣われてると落ち着かないのよ。私は陽翔に会いに来てるんだから、あんまり気にしないでちょうだい」

「お母さん、行ってきていいよ!」

陽翔まで笑顔で手を振っている。

「じゃあ……少し出てきます」

拍子抜けしながら玄関を出ると、真夏のまぶしい光が目に飛び込んできた。

夏休みが始まってから、1人で家を出るのは初めてだった。外の空気に触れた途端、肩に入っていた力が少しずつ抜けていった。