<前編のあらすじ>

49歳の会社員・高梨潤子さん(仮名)は、5年前に母を亡くした直後、父がアルツハイマー型認知症であると診断されます。同世代の信頼できるケアマネジャーの支えもあり、父は住み慣れた実家を離れ、年金の範囲内で安心して暮らせるグループホームへ入居しました。

しかし3年が過ぎた頃、父の老衰が進んで終末期を迎えます。元の施設では看取り対応ができないため、別の施設へと転院することになるのですが……。

●前編:1LDK賃貸に親は引き取れない…49歳独身の娘が直面した「遠距離介護」の限界、入居施設で下された「残酷な宣告」

安息の地からの転院、そして敬意に満ちたスタッフとの出会い

今年80歳で亡くなった父は、母に先立たれた後にアルツハイマー型認知症と診断され、地元のグループホームで穏やかに暮らしていました。

しかし、グループホームへの入居から3年ほどすると老衰が進んで身体機能が低下し、いわゆる終末期を迎えました。グループホームでは“看取り”の対応をしていなかったことから、やむなく別の施設へと転居することになったのです。

グループホーム入居の際にもお世話になったケアマネジャーが、移転先の施設を見つけてくれました。新しい施設は宗教法人が運営していて、しっかりした医療体制や丁寧な看護に定評があるとのことでした。

実家のある隣の市の郊外の森に建てられた施設は、外壁にレンガが張り巡らされたレトロ調の建物で荘厳な雰囲気でした。初めて玄関の前に立った時、ここが父の終の棲家になるのかと思うと胸に迫るものがありました。

意外だったのは、施設で働くスタッフに海外の方が多かったことです。前のグループホームのスタッフは私よりひと世代上の日本人の女性ばかりだったので、最初は少し戸惑いました。しかし、皆さんとても信心深く、ある程度は日本語でコミュニケーションが可能で、寝たきりで意識もあったりなかったりする父に対しても敬意を持って真摯に対応してくれる姿に自分の偏見を恥じました。