高級腕時計に現金まで…父の持ち物が消え始める
父の容体が不安定だったこともあり、この施設には毎週見舞いに行っていました。その中で、おかしなことに気付きました。父の持ち物がなくなっていたのです。
きっかけは、父が肌身離さず持っていた腕時計が見当たらないことでした。それは父が現役時代に何かの記念にいただいたもので、当時で10万円以上すると話していた高級品です。引っ越しの際に確かにケースに入れて段ボールに詰め、運び込んだはずですが、なぜか段ボールの中を探してもないのです。その時は帰りの新幹線の時間が迫っていたこともあり、とりあえずそのままにして帰路につきました。
翌週は早めに家を出て、施設に到着して父の容体を確認してからすぐに荷物のチェックを始めました。すると、腕時計の他にもなくなったものがありました。
父にはグループホーム時代から財布を持たせていて、急な買い物があっても困らないように中にはいつも10万円ほど入れておきました。財布の件はグループホームのスタッフの方とも共有し、何かを購入する必要が生じたら財布のお金で支払い、領収書を財布の中に入れておくという決まりごとにしていたからです。ところが、父の財布を改めると中には1万円札が1枚もありません。これは変だと思いました。
さらに父の持ち物を調べていくと、私が父の喜寿(77歳)のお祝いにプレゼントしたカシミヤのカーディガンもありません。「どういうこと?」と思いました。
とはいえ、入居したばかりの施設で事を荒立てるのは賢明でないと考え、まずは、施設を紹介してくれたケアマネさんに相談しました。ケアマネさんは私と同世代で、ひとり娘でおひとりさまという共通項もあり、込み入った相談ができる程度の関係性は築けていたからです。
ケアマネさんからは、「それは犯罪だから、なくなったもののリストを作って施設側に相談しましょう」と助言されました。そして、すぐに施設の主任と連絡を取り、私が次に施設を訪れる翌週末、彼女は非番だったにもかかわらず、わざわざ施設まで足を運んで面談に同席してくれたのです。
