「文化の違い」と言い逃れる主任、そして突然訪れた父との別れ

面談の席で私が見つからない貴重品のリストを提示した上で事情を説明すると、やはり私と同年輩の男性の主任は眉間にしわを寄せ、「お父様が大変な時に、私どもの管理体制の問題でご迷惑をおかけしてしまい、本当に申し訳ございません」と頭を下げました。

そして、実は他の入居者からも同様の指摘があったことを打ち明け、暗に外国人スタッフの仕業ではないかと匂わせたのです。

正直、主任さんのその態度には違和感を覚えました。そこで「あれほど献身的に父に向き合ってくださる方々が、そんなことをするなんて信じられません」と抗議めいたことを口にすると、「そもそも文化や慣習の違いが大きいんですよ。私どもの方でも様々な教育に力を入れていますが、なかなか浸透していきません」としれっと言います。

見かねたケアマネさんが「こういう問題は施設の評判に直結することですから、厳格に対処していただかないと」と横から釘を刺すと、主任さんは「施設長や副施設長とも相談の上、早急に対策します」と話を収めました。

何となく、あまり追及されたくないというような態度に見えました。

その日は念のため3人で父の荷物からリストの貴重品がなくなっていることを確認した後、施設内の調査や話し合いの結果は速やかに報告するという約束をして解散しました。

しかし、それから3日も経たないうちに父の容体が急変。危篤の知らせを受けて施設に到着して1時間後に、父は静かに息を引き取ったのでした。その後は葬儀や死後の様々な手続きに追われ、父の荷物を引き取りに行くのは半月ほど後になってしまいました。