<前編のあらすじ>

兄・智徳さんと弟・拓海さんは仲のいい兄弟だった。

父・剛士さんは長年体調が優れなかったので、相続についても話し合ったが、「遺産は兄弟で半分ずつ」と取り決めていた。

やがて父・剛士さんが亡くなった。兄弟が遺品を整理していたところ、父のスマホを発見。

スマホのフォルダ内に「遺言書」という名前の動画ファイルが保存されていた。

その動画を再生したところ、「相続は兄に4割、弟に6割」と、取り決めと異なる内容の「遺言」が残されていた……。

●前編:【「遺産は半分ずつ」の約束がぶち壊しに…亡くなった父のスマホに保存されていた「遺言動画」の仰天内容】

「こんなの、ただの動画だろ」

動画を見終わったあとの智徳さんの反応は冷たかった。

「……だから何だ?」

拓海さんは驚いた。

「え!? 親父の遺言だぞ?」

すると智徳さんは強い口調で言った。

「こんなの、ただの動画だろ。法的に有効なのか?」

そう言われて拓海さんは言葉に詰まった。だが、それでも父の意思は本物だと思っていた。

拓海さんは声を振り絞って言った。

「法律がどうとかじゃない。大切なのは気持ちだろ」

しかし智徳さんは首を縦に振らない。

「俺たちは最初に半分ずつって決めただろう。今さら変えるつもりはない。今回変えたところで何か見つかったらまた変えることになる。コロコロ変えるのはごめんだね」

吐き捨てるような強い口調で言う。

そこから兄弟の激しい口論となった。二人の関係はその日を境に急激に悪化し、数ヵ月にわたり衝突を繰り返すことになった。

「親父は俺に6割残したかったんだ!」拓海さんが言うと、まけじと智徳さんも怒鳴り返す。

「だったらちゃんとした遺言書を作ればよかったんだよ! そうしなかったのは、親父も本気じゃなかったってことだろ!」

話し合いは平行線となり、兄弟は徐々に疲弊していった。