<前編のあらすじ>
今年3月に還暦を迎えた桑原明子さん(仮名)は、66歳の夫と埼玉県内の自宅マンションで年金生活を送っています。
夫は現役時代、ピーク時には年収1000万円近くありましたが、現在の公的年金は加給年金を含めても月額手取り20万円強。住宅ローンと管理費・修繕積立金で月12万円もかかり、家計は圧迫されています。
窮状と鬱屈した気持ちは周囲に隠してきたものの、年明けのマンション総会で最悪の形で表に出てしまうのでした。
●前編【現役時代は年収1000万円の60代夫婦が一転、年金生活で味わった屈辱「現実がここまで厳しいとは思いませんでした」】
「爪に火をともすような生活」を悟られないよう気を付けてきたが…
今年還暦を迎えた私は、66歳の夫と埼玉県内の自宅マンションで暮らしています。夫は2年前の春に継続雇用を終えて年金生活となり、私は近くの量販店で週4日パートをしています。
私たちには子どもが二人います。上の娘は結婚して子どももいて、下の娘は学生時代からの彼氏と同棲中。ともに都内在住です。我が家は都心から電車で1時間ほどなので、二人とも月に数回は顔を見せに来てくれます。
そんな話をすると、友人たちからは「悠々自適でいいわね」「かわいいお孫さんもいて幸せね」などと羨望の目を向けられるのですが、我が家の内情はそんなに優雅なものではありません。
夫の年金は私の加給年金を合わせても手取り20万円ちょっと。自宅マンションは購入して33年になりますが、住宅ローンの返済がまだ残っていて、マンションの管理費や修繕積立金と合わせると月額12万円近くにもなります。インフレで物価は上がる一方ですし、他に税金や社会保険料の支払いもありますから、とても夫の年金だけでは暮らしていけず、パートを辞めることができません。
夫の現役時代の勤務先は中小企業ですが、定年前は部長になって年収が1000万円近くありました。それほど裕福なわけではありませんが、娘二人も高校から私立に通わせていましたし、人並みの生活は送れていたのではないかと思います。それが今や、爪に火をともすような生活で、夫や私は自分の小遣いも確保できない状態です。
とはいえ、人前でこんな話をするのは情けないので、娘たちやご近所には内情を悟られないよう気を付けてきました。しかし、昨年末に開催されたマンションの総会で思いがけぬ“事件”が起きたのです。
