「『出て行け』と言われたも同然」夫の禁断の一言

これに反応したのが夫でした。部長職にあった夫はリタイアした今でも上からの物言いが抜けないところがあります。

「君はクライアントに対して何を言ってるんだ! そもそも、こんなシミュレーションは机上の空論だろう? その時になってみなければ、どこの修理が必要で、どれだけ費用がかかるかなんて分かるはずがない」

これに若手社員が「机上の空論であっても、計画して準備をしていくことが大切だと申し上げているんです」と反論すると、夫の口から禁断の言葉が飛び出しました。

「現役の君たちはいいかもしれないが、我々のような年金生活者は決まったお金で暮らしていくしかないんだ。今の年金水準じゃ自分の生活だけで精一杯で、とてもこのマンションの未来や資産価値のために投資する余裕なんてない。我々にとっては『出て行け』と言われたも同然だ」

「お父さん!」と止めようとした時は既に遅し、でした。夫の言葉に周りの人たちは水を打ったように静まり返りました。

空気を読んだ理事長がその場での採決を避け、以降はほぼ義務的に別の議案の説明と採決を繰り返した後、散会になりました。しかし、後の住民投票で結果的に管理費と修繕積立金の値上げは承認されました。

住民たちがよそよそしい態度に…八方塞がりの日々に苦悩

それからです。他の住民たちの私たちに対する態度が目に見えてよそよそしくなったのは。親しく行き来していた友永さんご夫婦からもとんと声がかからなくなりました。夫の暴言が、同世代の友永さんの立場をも危うくしてしまったのですから当然です。

先日こっそり上の娘にだけ相談したら、「管理費上がったら払っていくのも大変でしょ?マンション売った方がいいかもね。今はリノベが流行っているから、古くても買い手はつくみたいだよ」と言われました。

といっても、売却後の住まいの当てがあるわけではありません。高齢者住宅に入るのはまだ早いし、とはいえ、60歳を過ぎると賃貸は借りにくくなると聞いています。

年金が少ない上に余計な頭痛の種を抱え、憂鬱な毎日です。

※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。