今年3月に還暦を迎えた桑原明子さん(仮名)。ご主人は2年前に完全リタイアし、子どもたちは独立して埼玉県内の自宅マンションに夫婦二人で暮らしていると聞けば、「悠々自適の生活」という言葉が思い浮かびます。ところが、桑原さんによれば、「とてもそんな状況ではなく、今、すごく追い詰められている」のだとか。
1つは、予想外に厳しい年金生活。ご主人は現役時代、1000万円近い年収があっただけに落差が大きいようです。加えて、そうした年金生活のストレスもあったのか、自宅マンションの総会でご主人が放った禁断の一言が原因で“マンション内村八分”の状態になっているのだと言います。「最悪の60代のスタートになった」と嘆く桑原さんに、事の顛末を話してもらいました。
〈桑原明子さんプロフィール〉
埼玉県在住
60歳
女性
パート
夫と二人暮らし
金融資産2000万円(世帯)
思い描いていた年金生活は幻想だった
我が家は6歳年上の夫が定年後の雇用延長期間を終え、完全リタイアして今年で3年目になります。下の娘が大学を卒業したのが5年前だったため、学費や自宅マンションの住宅ローンの返済などに追われ、気づけば老後に突入していたという感じです。
今年還暦を迎えたばかりの私に老後という実感はあまりないのですが、それは置いておいても、今の私たち夫婦の現状は思い描いていた年金生活とあまりにかけ離れたものであることは確かです。
私は地方の出身で、祖父母、父母、兄と私という三世代世帯で育ちました。
祖父は私の大学の学費をずっと援助してくれ、父からは私が結婚した時や家を購入した時にそれぞれ100万円をぽんと渡されました。そういう祖父や父の姿を見ていたせいか、年金暮らしの人は経済強者であり、年金は使い切れないくらい出るものだと考えていたのです。それが幻想に過ぎないことは年齢を重ねるにつれて分かってきたのですが、現実がここまで厳しいとは思いませんでした。
