デジタル戦略部は未知の世界…収入が抑えられる可能性も
元上司は6月末で定年を迎え、継続雇用制度で会社に残る予定でしたが、この改革で「自分の居場所はないから」と勇退の道を選びました。
勤務先の大卒社員の平均生涯年収は3億円ほどです。リタイア後は公的年金に加えて企業年金も受け取ることができます。ただし、3億円というのは前の人事評価制度に基づいた数字で、現行の役割等級をベースとした戦略的報酬制度の下では、結果を出せなければ収入が低く抑えられてしまう可能性もあります。
人事部であればそれなりにやっていく計算が立ちますが、異動先のデジタル戦略部は私にとって未知の世界です。むしろ、大学や院で専門分野を学んできた若手社員の方が、私よりもずっと当該分野に詳しいのです。
その点、元上司は先の3億円を既にほぼ手にしています。キャリアの終盤で想定外の変革に遭遇し5年間の継続雇用の予定が狂ったかもしれませんが、全体から見れば小さなことです。独り身の私には、家族がいて、既に安定的な資産を得ている元上司が羨ましく思えたのでした。
つい後ろ向きな考え方をしてしまうのは、私が氷河期世代だからかもしれません。
立ち直りは早い方だと思っていましたが、今回ばかりは、なかなか気持ちの整理がつきませんでした。3月は人事部にとって新卒採用が本格化する時期ですが、私は採用班ではなく、また、AIの導入についてはデジタル戦略部が主導することもあり、貯まっていた有休を消化させてもらうことにしたのです。
本来なら南の島にでも行きたいところですが、春休みで学生の卒業旅行や家族旅行が多く、幸せそうな人たちを見ると余計に気が滅入りそうでした。
そこで、忙しさにかまけて何年も戻っていなかった実家に帰省することにしたのでした。実家には両親と兄一家が暮らしていますが、両親は共に70歳を超えています。健康面の不安も出てくる頃で、少しは親孝行もしないと、という思いもありました。
しかし、この帰省で私は仕事とはまた別の挫折感を味わうことになったのです。
●この後、失意の栗原さんをさらに打ちのめす「衝撃の事実」が発覚します。詳細は後編【見下していた幼なじみは年商億単位、美人妻と幸せな生活…学歴至上主義の元人事部エースが感じた「取り返せない後悔」】でお届けします。
※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。
