<前編のあらすじ>

68歳の東順子さん(仮名)は、ひと回り年上の姉への憧れもあり独身を貫いてきました。しかし昨秋、元気だった姉が末期がんと診断され、わずか半年後に逝去します。

東さんの姉は亡くなる直前まで、20年間無職で親に依存する息子・恒司の話ばかりしていましたが、恒司はほとんど病院に姿を見せず、心配する東さんのLINEも既読スルー。一方、長女の万起子は、仕事の合間を縫って献身的に看病や手続きを行ってくれました。

●前編:【溺愛した息子は20年間無職で親に依存、しっかり者の娘とは不仲…理想の家庭だった姉一家が抱えていた「家族の闇」】 

対照的な姉と弟の人生

先月亡くなった姉には、子供が2人いました。第1子が長女の万起子、第2子が長男の恒司です。

万起子は幼い頃から物静かな大人びた子で、親離れするのも早かったようです。

それに対し、恒司は月足らずで生まれてきたせいか、同い年の子供たちより小柄でひょろっとしていて、就学期になっても姉にべったり。姉が恒司ばかり気にかけるようになったのは、ある意味、必然だったのかもしれません。

上の万起子は見るからにしっかりしていて、習い事や進学先なども自分で決めるタイプ。一方、恒司にはほとんど自主性が感じられず、姉の言うままに水泳教室や塾に通い、姉が進める中高一貫の男子校に進みました。

姉は恒司に頼まれれば車を出して送迎し、最新のゲーム機やゲームソフトを買い与えるなど甘やかし放題でした。

万起子は大学時代から今の旦那さんとの結婚を視野に入れていたらしく、旦那さんの郷里の名古屋で就職し、数年後には入籍しました。