<前編のあらすじ>
58歳の正敏さん(仮名)は、母親の買い物依存による借金返済と介護に追われ、質素な生活を送っていました。母の他界後、友人の紹介で出会った美智子さん(仮名)は、3年前に夫を亡くした未亡人。「前の夫が遺産を残してくれたから」と高級ブランド品に身を包み、優雅な暮らしを楽しんでいました。
料理上手で家庭的な美智子さんに心惹かれた正敏さん。一方の美智子さんも、正敏さんの誠実さに安心感を覚え、2人は結婚を決意します。高級レストランでの食事や旅行など、かつて経験したことのない贅沢な新婚生活。しかし結婚後、美智子さんの貯蓄が予想以上に少ないことが発覚します。定年まであと2年の正敏さんは「老後破綻するかもしれない」という不安を抱え始め、夫婦でファイナンシャルプランナーに相談することを決意するのでした。
●前編:【「老後破綻するかもしれない」定年直前に発覚…年収480万円・58歳男性が危機感を覚えたセレブ妻の「驚くべき秘密」】
危機感はあるが改善の意欲が低い夫婦
筆者が2人からヒアリングして分かったことは、2人ともこのままではまずいと思っているものの、生活を変えなければならないという意識が希薄だということです。それどころか「生活を変えられないので、運用して収入を増やしたい」と言います。
しかし、運用は将来の生活を豊かにするものであり、今の生活費を補填するために行うものではありません。株式やFXなどで勝ち続ければ毎月の生活費の補填はできますが、勝ち続けることは至難の業です。
それに、収入に合った生活ができていなければ、そもそも運用に回せるお金もありません。資産運用の役割や活用法について説明したところ、その点は理解いただきました。