<前編のあらすじ>
福岡県在住の石橋亜紀さん(仮名・56歳)は、奈良県出身で、ひとり娘のため実家の両親を心配していました。70代で認知症を発症した母親は、自宅近くの老人ホームで穏やかな最期を迎えることができました。その後、80歳を超えた父親にも認知機能の低下が見られ、石橋さんは安心できると思い、母と同じホームに入居してもらいました。
ところが、半年ほど前から父親が介護を拒否するようになり、ホームとの関係が悪化。当初は優しかった施設長も冷たい態度に変わりました。さらに精神科病院への入院まで勧められ、費用も月40万円を超える状況に。大学生の息子を抱え、住宅ローンも残る石橋さんは、亡き母のケアマネジャーだった山内さんに最後の望みを託します。
●前編:【「最高の老人ホームだと思っていたのに」80代父の“介護拒否”でトラブル勃発…顔面蒼白の娘が頼った最後の砦】
介護拒否から始まったホームとのトラブル
奈良の父は認知機能の低下でひとり暮らしが困難になり、3年前から老人ホームに入居しています。自宅からほど近い老人ホームは、認知症のため77歳で亡くなった母が最期の5年間を過ごした場所です。
ひとり娘の私は結婚後、福岡に住んでいて、仕事もあるので顔を見に行けるのはせいぜい1カ月に1度です。それでも、現在の施設長の女性は母が入居していた頃、現場でお世話をしてくれた方ですし、顔見知りの方も多いので大船に乗ったつもりでいました。
ところが、半年ほど前から父の介護をめぐってホームとの間でトラブルが発生し、ホームに対する信頼が揺らぎ始めました。
原因は、紙オムツが欠かせなくなった父が、オムツ替えを拒否するようになったことです。その結果、居室に尿を垂れ流し、スタッフの方々は父の下着やズボンだけでなく、汚れたベッドのシーツや床の掃除でてんてこまいのようでした。