30代のみずのさん(仮名)は、60代半ばの母親が突然大腸がんで倒れたことをきっかけに、人生観が大きく変わりました。退職後の生活を楽しみにしていた両親でしたが、母親が病気でアクティブに動けなくなったことで、「老後の夫婦の第二の人生」はわずか半年で終了。厳格だった母親との複雑な関係も、介護を通じて徐々に変化していきます。

<読者プロフィール>
女性
30代
北海道・東北地方在住
自営業

●前編:両親の退職後の夢がわずか半年で終了…「老後の楽しみ」の危うさを痛感した30代女性が決意したこと【読者体験談】

母の病気を通して実感した人生の不確かさ

みずのさんは母親の病気を通して、人生の不確かさを痛感しました。

「ずっと『いつかやろう』と思っていた夢があっても、ある日、突然実現できなくなってしまうことがある。その“ある日”は、予告なしにやってくるんです」

母親の闘病を見守るなかで、みずのさんはそれまでの考え方を改めるようになりました。特に、家族との関係性について深く考えるきっかけとなったといいます。

「介護や老後のサポートについても、私は正直、他人に任せた方がいいと思っていました。お金を払って、プロに頼るのが一番効率的だと」

しかし、実際に母親の介護に関わるようになって、みずのさんはそれが違うことに気づいたのです。

「実際には、肉親にしかできないことがたくさんありました。病院への付き添い、細かな生活用品の買い出し、ささいな会話。それらはどれも“誰でもできること”のように見えて、心の距離があるととても難しいんです」