「明日が当たり前にやってくるとは限らないのなら、“いつか”の楽しみを、“今日”に引き寄せて生きていきたい」――こう決意するのは30代のみずのさん(仮名)です。母親の突然の病気をきっかけに、人生観が大きく変わったという彼女の体験談を通して、私たちが見落としがちな「今」の大切さについて考えてみましょう。
<読者プロフィール>
女性
30代
北海道・東北地方在住
自営業
人生観に転機をもたらした出来事
「夫が退職して老後になったら思い切って旅行に行こう」
「子育てが落ち着いたら、何か新しい趣味を始めよう」
みずのさんも、かつてはそんなふうに考えていました。将来のために今を我慢し、老後や子育て後の自由な時間のために「やりたいこと」を先送りにする。それが当たり前の生き方だと思っていたのです。
しかし、その考え方が根本から覆される出来事が起きました。60代半ばの母親が突然倒れたのです。
「大腸がんだったんです。しかも、すでに転移が見られる段階でした」
みずのさんは当時の衝撃を今でも鮮明に覚えています。それまで健康だと思っていた母親の突然の発病は、みずのさんの人生観に大きな転機をもたらすことになりました。