<前編のあらすじ>

吉田大樹さん(仮名、33歳)の祖父は88歳で亡くなった後、相続税評価額が5億円に上ることが判明しました。相続人は祖母、父、叔母、そして養子縁組した孫の大樹さんです。

遺産のほとんどは投資財産で、現預金は1億円足らず。このままでは相続税が払えないため投資財産の売却が必要でしたが、叔母が多めの相続を求めたことで話は混乱。結局、80代の祖母の機転によりなんとか遺産分割がまとまりました。

しかしその直後、祖母が脳梗塞で倒れてしまいます。

●前編:「一旦は私が全部相続する」祖父の遺産5億円を前に祖母が下した冷静な決断…その数週間後に起きた“まさかの事態”

相続人一同が驚いた、相続税評価額「5億円」の事実

先祖代々の工芸店を経営していた祖父は、父に経営を任せた後も地価の上昇をバックに融資を受けて都心のマンションなどに積極的に投資していました。その祖父が88歳で亡くなり、相続税評価額が5億円と聞いて相続人一同が驚きました。

とはいうものの、5億円のうち現預金は1億円足らず。投資財産の一部を売却しなければ、相続税が払えません。

祖父にかわいがられ、中学生の時に養子になった私も相続人の1人でした。相続人は他に、祖母、父、叔母の計4人です。

祖父母と相性が悪く疎遠だった叔母は、父や私が生前に様々な支援を受けてきたことを理由に多めに遺産をもらうつもりだったようです。しかし、祖母が「近いうちに現金化するのだとしたら、名義は散逸させない方がいい。私なら配偶者の税額軽減の特例(配偶者は1億6000万円または法定相続分までは非課税で相続できる)も使えるから、一旦は私が全部相続する」と言い出すと、「お母さんがそう言うのなら仕方がないわね」としぶしぶ折れました。