「私の財産は全部、あなたに譲るから」。都内在住の会社員の田中茉莉花さん(仮名)は、名古屋で一人暮らしをする80歳の叔母様から何度かそう耳打ちされましたが、本気で取り合わないようにしてきたと言います。
若い頃に両親を亡くした田中さんにとって叔母様は親代わり。これまでに受けた恩を考えれば、離れた場所に住んでいても何かあった時は飛んで行ってサポートするのが当然と考えていたのです。それに、叔母様の亡くなった一人息子には実家に戻った奥さんと娘さんがいて、叔母様の財産はむしろ2人の生活に役立ててもらうべきという思いもありました。
しかし、面と向かって叔母様に意見をするのは気が引けました。叔母様も田中さんも頑固で一本気なところがあり、万一、意見が食い違ったりしたら、両者の関係性に決定的な亀裂が生じる可能性もなくはなかったからです。
そして昨夏、叔母様から大事な話があると呼び出された田中さんが名古屋に向かうと、案の定、遺言書の話を持ち出されたのですが、そこには思いがけない“助っ人”が現れたのでした。田中さんが「おかげで叔母との決裂を回避できた」と感謝する助っ人の正体は?
〈田中茉莉花さんプロフィール〉
東京都在住
55歳
女性
会社員
自宅マンションに夫と2人暮らし
金融資産8500万円(世帯)
親代わりであり、年の離れた友人のような存在の叔母
早くに両親を亡くした私にとって、父の妹に当たる叔母は親代わりであり、長じては年の離れた友人のような存在です。
叔母とは共に韓流アーティストのファンという共通項もあってウマが合い、私の子育てが一段落した後は一緒にコンサートや韓国ツアーを楽しんできました。
私が幼い頃は近くに住んでいたこともあり、叔母の一人息子で3つ下の従兄弟の直樹とも姉弟のように育ちました。ただ、直樹は結婚生活がうまくいかず、10年ほど前に自死しました。
叔母は叔父が病死した後、名古屋で直樹の家族と同居していました。しかし、直樹の奥さんの佑衣さんは直樹の死から1年も経たないうちに幼い娘を連れて出ていき、以降はほとんど音信不通のようです。
高齢で一人暮らしになった叔母は、何かと私を頼りにするようになりました。現在は叔母がけがで入院したり、介護保険の認定を受けたりする際は、私が仕事を休んで名古屋まで出向き、手続きをサポートしています。
