争続はどこの家でも起こり得るものですが、中でも亡くなった方が再婚している場合は後妻と実子の間で感情的な行き違いが生まれやすいようです。福田加代さん(仮名)のお父様の相続もそのケースでした。お父様は福田さんや妹さんが高校生の時に再婚したのですが、お母様自身が温和な性格の方だったこともあり、福田さん姉妹とお義母様との関係は良好でした。
ところが、東京在住で実家とは疎遠だったお兄様が、お義母様がお父様の財産を隠しているのではないかと疑い、遺産分割調停をすると言い出したのです。そんなことになったら、姉妹とお義母様との関係にもヒビが入りかねませんし、何より、裁判など起こしたら地元でおかしな噂を流される可能性もあります。困った福田さん姉妹が頼ったのが、ある相続の専門家でした。
〈福田加代さんプロフィール〉
栃木県在住
51歳
女性
保育士
自宅(戸建て住宅)に夫と2人暮らし
金融資産4500万円(世帯)
父の死がきっかけで生まれた兄妹間のさざ波
私は兄と妹に挟まれた3人兄妹の真ん中で、地元の短大を卒業した後は公立保育園の保育士をしています。20代半ばで出産しているので2人の子供は既に結婚して家を出、今は2歳上の夫と2人暮らしです。
兄は東京の大学を出て都内の企業に就職し、以降はずっと東京在住。一方、年子の妹は地元で結婚して専業主婦になっていて、妹一家とはお互いの子供の年齢も近かったことから頻繁に行き来がありました。
疎遠な兄と親しい妹。そんな兄妹関係にちょっとしたさざ波が立ったのは、今年、実家の父が亡くなったことがきっかけでした。
私たち兄妹の実母は私が中学生の時に病気で亡くなり、父は母の死から3年後、10歳年下の女性と再婚していました。父は当時、役所の課長職にあり多忙を極めていたのと、祖父母も健在だったことから女手が必要だろうと、父の上司や取引先がいろいろと世話を焼いてくれたようです。あの頃の地方ではよくあることでした。
義母とは養子縁組こそしませんでしたが、私や妹はそれなりに仲良くやってきました。それに対し、父の再婚時に既に家を出ていた兄は、実母に溺愛されて育ったせいか義母にはなじめなかったらしく、大学の休暇中もバイトや旅行に出かけてしまい、ほとんど実家に寄り付かなくなりました。
