<前編のあらすじ>
「実は……夫に障害年金が出るようになったら、離婚しようと思っているんです」。相談者の野口美代さん(仮名・43歳)は障害年金の相談に訪れた際、筆者に衝撃的な告白をします。
美代さんの夫は40歳を過ぎてから競馬にのめり込み、家族の貯蓄300万円を使い込みました。その後も400万円の借金を作り、美代さんの実家に肩代わりしてもらう事態に発展。それでもギャンブル依存は続き、苦言を呈する美代さんに暴力的な態度を取り始めます。
しかしある夜、夫は自宅で倒れ脳梗塞と診断されます。左半身に麻痺が残り、ほぼ寝たきりの状態になってしまいました。
●前編:【「もう面倒を見ることはできません」貯金を使い込み、借金を重ねていた夫…退院後の引き取りを拒否した43歳妻の“真意”】
実母が背負う介護の現実
美代さんの夫は実家に引き取られ、その後は2週間に1回の訪問診療を受けることになりました。さらにデイサービスが週2回、1回あたり20分程度、かろうじて動く右半身の運動をし、週2回のリフト入浴も受けています。
自宅に介護ヘルパーが週に3回訪問し、着替え、トイレ、体をタオルで拭いてもらう、体に薬を塗ってもらうといった支援を受けています。
ヘルパーでは足りない部分はすべて夫の実母に頼っています。
夫はかろうじて動く右半身では体を支えられず、ベッドで上半身を起こしていることも困難です。ベッドから車いす、車いすからベッドへの移動も実母やヘルパーに抱きかかえてもらわないとできません。着替えも手伝いが必要です。トイレは一人では行けないのでベッドの上で済ませ、その処理は実母が行っています。
一日のほとんどをベッドの上で過ごさざるを得ない状況にあり、食事の準備、掃除、洗濯、買い物など日常生活のすべてを実母に頼っています。
