障害年金が決まれば離婚できる約束
美代さんはそこまで話したところで、胸の内を口にしました。
「本当は今すぐにでも離婚したいと思っています。ですが、義母との約束で『私ができることをすべてした後に離婚する』となりました。あとは障害年金の手続きだけです。夫が障害年金を受給できることが決まったら離婚できます。とはいえ、障害年金が請求できるまでだいぶ先になってしまいますが……」
「確かに法律上、障害年金は初診日(その障害で初めて病院を受診した日)から1年6カ月が経過した日以降に請求することになっています。しかし、この請求時期には特例があります。その障害状態が固定してしまい、医学的観点からそれ以上の機能回復がほとんど望めない状態にあると認められると、初診日から1年6カ月が経過する前に請求することができるのです。例えば脳血管疾患による肢体障害の場合、初診日から6カ月が経過した日以降に請求することが可能です」
「そのようなものがあるのですね。初診日から6カ月という期間には何か意味があるのでしょうか」
「日本年金機構では『脳血管疾患による肢体障害の場合、初診日から6カ月を経過するまでは症状が固定しているとは認められない』とあるからです。ただし、初診日から6カ月を経過したからといって、必ずしも症状が固定したとみなされるわけではありません」
「結局、症状が固定しているかどうかは何で判断されるのでしょうか」
「主に医師の作成する診断書で判断されます。診断書には『傷病が治った(症状が固定して治療の効果が期待できない状態を含む)』という項目があり、そこの『傷病が治っている、つまり症状が固定している場合、治った日はいつなのか?』を記載する欄があります。よって、ご主人の主治医が『左半身の状態は症状が固定していると判断しました。症状が固定したと確認した年月日はいついつです』と診断書に記載してくれるかどうかです。」
