小林義和さん(仮名、以下同)は、都内の大手企業に勤める年収1300万円の55歳男性です。彼には専業主婦の妻と、新卒からずっと引きこもっている30歳の和美さんがいました。
「“女の子”だし、いざとなれば結婚させればいい」とのん気にかまえていましたが、自身の定年が見えてきたことでいよいよ娘への心配が募ります。
心配が募るなか、和美さんをなかば強引に結婚相談所に入れました。しかし結局、5年が経って和美さんは35歳になりましたが、未婚のまま。ちょうど義和さんも60歳で長年勤めた会社の定年になりました。
5年経っても成果が出ないということで、怒り交じりに押しかけた結婚相談所で、令和の常識と自分たちの“ギャップ”を教えられ、夫婦そろって途方に暮れてしまいました……。
●前編:「いざとなったら結婚させればいい」とたかをくくり、“引きこもり”の娘を放置…50代両親に待ち受けてた「悲惨な現実」
娘は結婚も仕事もできない…お金を残せるように老後の楽しみを捨てることに
夫婦で何度も話し合ったものの妙案は出ず、出てくるのは後悔ばかりだったといいます。和美さんとも話したものの、彼女はバイトさえ拒否するありさまです。長年の無職に加えて、「遅刻やミスをしたくらいで注意されるのは耐えられない」といいます。そんな当たり前のことさえ対処できない娘の状況を今ごろになって知って、余計に自分たちを責めるばかりだったとのことでした。
「自分たちの老後は大丈夫。でも自分たちが死んだ後の娘はどうなる? 今から娘が大きく変わるとは思えないし、結婚もできないし仕事もダメ。年金も微々たるものだし生活保護も働けと言われるだけだろう。仮にもらえても世間体が……どうしたらいいんだ」
結局、夫婦は少しでも多くのお金を娘に残すことにしました。そのために、彼は体が動く限り働くことを決意しつつ、今後の旅行や老人ホームなどの予定をすべてとり止めたといいます。また少しでも残すお金を増やすため、老後資金の一部で資産運用も始めたとのことでした。
「私はいつの間に、間違ってしまったんでしょうか。ただ、一生懸命家族のために働いているつもりでした。まさか最後の最後でこんなことになるとは、思いもしませんでした。娘には『情けない』と思う一方で、そんな風に育ててしまったのは自分たちだと考えると、安易に娘を責めることもできません。せめていつの日か、娘が少しは働く気になってくれることを願うばかりです」
いつか、そうなることを願っております。