ひきこもりのお子さんの中には、精神障害をお持ちの方も多くいます。働くことが難しく、収入を得られないようであれば、障害年金の受給を検討することになります。
ただし、精神障害の中には障害年金が認められづらいものもあります。そのような場合、どのような対策をとればよいのか。あるご家族のケースを見てみましょう。
教育熱心な母親の期待に応えようとした従順な娘
長女の障害年金の請求を考えている。そのようなことで、森美咲さん(仮名・20歳)の母親が筆者のもとを訪れました。
母親によると、最近になって美咲さんのお金遣いが荒くなってきており、家計の負担になっているとのこと。そのため、美咲さんが障害年金を受給できれば、そのお金をお小遣いに充てられる、と母親は考えたそうです。
まずは状況を把握するため、母親から話を伺うことにしました。
美咲さんは幼少期から、教育熱心だった母親のもとで育ちました。小学校低学年から塾に通い、さらにピアノや水泳などの習い事などもこなしていました。
「あなたはやればできる子よ。もっと頑張りなさい」
母親は何度もそう言ってきました。まるで呪文を唱えるように。
美咲さんは母親に逆らうこともできず、言うことを聞くしかありませんでした。勉強があまり得意ではなかった美咲さんは、歯を食いしばって勉学に励んでいました。そして高校は母親の望む進学校に進みました。
高校の授業科目は細分化され、内容も難しくなっていきます。そのため、美咲さんは次第に授業についていけなくなってしまったそうです。大量に出される宿題が処理できず、定期テストで思うように点数が取れなくなり、成績は落ちていく一方でした。