月5000円から始まったお小遣いがトラブルの火種に

このまま毎日家の中にこもっているのは望ましくない。

そう思った母親は、美咲さんにお小遣いを渡すことにしました。17歳当時のお小遣いは月に5000円。美咲さんは最初戸惑っていましたが、素直に受け取り、そのお金で月に何度か外出をするようになりました。

最初の頃はお小遣いの範囲内でやりくりをしていましたが、次第にお金が足りなくなる事態に陥っていったそうです。

美咲さんが19歳になった頃。母親に「自分の見た目が気になる」と言うようになり、ちょっとした外出でも化粧をしっかりとし、着飾っていないと気が済まないようになってしまったのです。化粧品、洋服、アクセサリーを買うのに月5000円のお小遣いではとても足りません。そこで美咲さんは母親と交渉し、お小遣いを1万5000円まで引き上げてもらいました。しかしそれでも足りない時があり、その都度、美咲さんは母親にお金を要求するようになったそうです。

このような状況はよくない。そう思った母親は、美咲さんに「アルバイトをしてお金を稼いでちょうだい。そのお金で買い物をしてちょうだい」と言ってみました。

すると美咲さんは顔を真っ赤にし、怒りをあらわにしてきました。

「こんなことになったのは誰のせいだ! 高校すら行けなくなった落ちこぼれがアルバイトなんてできる訳ないだろ? お前が責任を取れ!」

母親がお金を渡すまで、美咲さんは何時間でも母親を責め続けました。美咲さんの責めに母親は心底疲れてしまい、仕方なくお金を渡してしまうのでした。

困った母親は、美咲さんの父親に相談。しかし、父親は険しい表情を見せ「俺は仕事で忙しいんだ。お前が何とかしてくれ」と言うばかり。父親は休日もできるだけ美咲さんと顔を合わせないようにし、美咲さんのことは母親に任せっきりだったそうです。頼れる人もおらず、その後も母親は美咲さんの要求通りにお金を渡し続けざるを得ませんでした。