たいていの場合、「打つ手ナシ」が現実。そうなる前の対処が命
先ほどの統計結果の通り、現在の日本には多くの引きこもり状態の方がおり、女性のほうが若干ではありますが、引きこもりがちな傾向にあります。この状態は、いわば「8050問題予備軍」です。そして実際の8050問題と同じく、解決はかなり困難といえますし、中でも本編の和美さんのようなケースが、筆者としては特に問題だと感じています。
あくまで筆者の経験則ですが、和美さんのような方は学生時代に苦労や努力をあまり経験していません。基本的に甘やかされ、都合の良いことだけを聞き入れ、一切の苦労や努力、“都合の悪いこと”から逃げてきたのです。この姿勢のまま厳しい社会に出れば、対応できなくて当然であり、今までと同じく逃げた結果が引きこもり状態といえます。つまり、社会に出るための基本ができていないわけですから、仮に社会復帰できても、心を入れ替えない限りはまた逃げるだけ……でしょう。
では、どうすればいいのか。
本人は、そもそも働くのが困難ですから、日常の生活費さえ稼ぐのは困難です。結婚も厳しいですし、年金や生活保護を期待するのも危険といえるでしょう。たいていの親は自分たちの老後で手一杯で、とても子供の何十年と続く生涯など支えきれません。十分な資産を築けた親なら、たとえば何らかの資産運用などで対処できる可能性がありますが、そのような方はごく一部しか当てはまりません。
厳しい話ですが、ここまでくると「打つ手ナシ」が現実といえます。
それどころか、義和さんのように相応の余裕がある方でなければ、自身の老後生活の途中で共倒れする可能性さえあるのが現実です。仮に子供が再就職できても、当人の年齢によっては、すでに時間が足りず本人の老後資金が足りない可能性が高いといえます。
だからこそ、「このような状態になる前の対処」が重要です。世間体を気にする親御さんも多いですし、子供の精神状態などへの見極めも大事です。ですが、子供が引きこもったと思ったら、早めに役所などに相談するなど、早め早めに対処していきましょう。