<前編のあらすじ>

都内のIT企業に勤める田部井遼さん(仮名・37歳)は、妻と義両親との4人暮らしで、3500万円の住宅ローン残高を抱えながら毎月3万円のNISA投資を行っています。義両親はともに60代の後半ですが、自営業が長かったため年金額は2人合わせて月8万円程度。田部井さん夫婦が毎月5万円程度を援助している状況です。

ある時、同期から「今、目一杯投資に行かないのはバカ」と毎月の投資額を増やすよう促されますが、込み入った家計の事情もあり、投資とローン返済の優先順位に悩んでしまいます。

●前編:【住宅ローン繰り上げ vs NISA投資増額、どちらを優先すべきか…“情報弱者”扱いされた30代男性が抱えた「人生最大の悩み」】

「何となく」では済まされない投資の選択

金利が上昇基調にある中でNISA(少額投資非課税制度)の積み立てを増額するか、それとも住宅ローンを繰り上げ返済するかは、私のように住宅ローンを抱えるNISA民には大いに気になるところです。先日も同期との出張帰りの飲み会でその話題になりました。

SE出身でデータを重視する同期は、いろいろシミュレーションをしてみたけれど市場が落ち込んでNISAがマイナスにでもならない限り、NISAの圧倒的優位は揺るがないというスタンス。私が「それでも何となく割り切れないんだよなぁ」とぶつぶつ言うと、「『何となく』とか情報弱者みたいなこと言うなよ」と突き放されました。

我が家は結婚時に建てた二世帯住宅のローンが3500万円以上残っています。ローンが完済するのは現状、私たち夫婦が70歳の時です。変動金利ですから、これから金利が上がって返済額が増えると、完済時期がどんどん後ろ倒しされ75歳くらいになってしまうかもしれません。さらに、同居する義両親は年金が2人合わせても8万円程度しかなく、私たちが毎月5万円ほど援助し、光熱費や水道料金、固定資産税なども負担しています。10数年後には義両親の医療費や介護費がかかってくることを考えると、なるべく借金を減らしておく方がいいように思えます。

そうした込み入った状況を私なりに見極めながら判断しようとしているのに、同期から情報弱者扱いされた時は正直カチンときました。勤務先のファイナンシャルプランナー(FP)相談を使ってみようと思い立ったのはそれがきっかけでした。