定年の直前に都内にマンションを購入した橋本浩さん(仮名)。「駅からやや歩くのを除けば、物件自体の評価はまぁ満足」と言いますが、気になっていたのが管理会社のことでした。橋本さんのマンションの管理会社は大手不動産会社系で、メディアの管理会社ランキング上位の常連です。しかし、橋本さんたち住民と直接接する管理人や担当者の印象はどちらかと言えば悪い方で、メーカーの営業職としてお客様第一を心掛けてきた橋本さんからすれば対応も全く物足りないものでした。

昨年初めて理事長を務めることになった橋本さんは、帳簿などを確認して、さまざまな費用がマンションの規模に比して割高ではないかという疑念を持ち始めます。そこで問い合わせたマンション管理のNPO(非営利組織)からある専門家を紹介されたのです。橋本さんはその専門家とともに、わずか1年で管理会社そのものや、管理会社との契約の方式を変えるという大改革をやり遂げます。橋本さんに、そこまでの経緯を話してもらいました。

〈橋本浩さんプロフィール〉
東京都在住
64歳
男性
会社員(雇用延長)
パートの妻と2人暮らし
金融資産3500万円(世帯)

60代でマンション購入を決めた理由

私は転勤族だったため、なかなか一カ所に落ち着くことができず、定年を前にしてようやく自宅マンションを買いました。高齢になると賃貸物件の選択肢が限定されると聞いていた一方、60代で高齢者用住宅に入居するのはまだ早いだろうという気持ちもありました。

今は男女とも平均寿命が80歳を超えていますから、60歳で購入しても20年は生活の拠点として活用できますし、逆に20年程度なら、手放すにしてもそれなりの価格で売れるのではないかと考えていました。

年相応に貯蓄もあったのでローンを組んだのは500万円ほどでしたが、今と比べれば住宅ローンの金利もだいぶ低かったし、いい買い物だったのではないかと思っています。