兄が義母への遺産分割調停を画策

しかし、半月ほどして、兄から私や妹に連絡が入りました。なんと兄は、「お父さんの遺産が実家の不動産と預金500万円だけなんてあり得ない」と言うのです。

役所の職員だった父は2000万円超の退職金を受け取り、月々の年金も25万円近くありました。なのに亡くなった時点の預金残高が500万円のはずはなく、義母がどこかに隠しているに違いないというのが兄の主張です。

兄はその時点で弁護士にも相談していたらしく、遺産分割調停を起こして遺産の全容を明らかにするといきり立っていました。

私や妹は「そこまでする必要ある?」という気持ちでしたが、兄は「お前たちは幾つになっても世間知らずだから、義母にいいように扱われてしまうんだ」と長子の威光をかざして私たちに決断を迫ってきました。

遺産分割調停など起こしたら、義母との関係性も悪くなること必至です。それに、東京に住む兄はいいかもしれませんが、狭い田舎で妙な噂話が飛び交ったら迷惑するのは私と妹です。

ほとほと困り切った私たちがすがったのが、地元の金融機関の紹介で相続相談を行っていた税理士の遠藤さんでした。

●義母との関係も、地域での評判も守りたい――。そんな姉妹の願いを叶えたのは、弁護士とは異なる税理士ならではの「セカンドオピニオン」でした。後編【義母への遺産分割調停を主張する兄vs事を荒立てたくない姉妹…争続の危機を救った専門家の冷静な分析】で詳説します。

※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。