<前編のあらすじ>

阿久津礼子さん(仮名・59歳)は、28年間専業主婦として暮らしてきましたが、1年数カ月前に夫と暮らす自宅を出て、リゾートバイト生活を始めました。きっかけは、夫が義兄からアルツハイマー型認知症の義母を預かってほしいと頼まれたことでした。

次男の嫁である阿久津さんはこれまで帰省するたびに義母からいびられ、屈辱的な仕打ちを受けてきました。そんな義母の世話をすることなど考えられず、家を離れる覚悟を決めます。

●前編:【「目標は日本縦断!」リゾートバイト生活を楽しむ59歳“訳あり”妻が、夫を残し家出を決意した理由は…】

家を離れる覚悟を決めた日

夫の郷里は関東地方の辺地にあり、過疎化が進んでいます。実家には義兄夫婦と義母が暮らしていましたが、義母がアルツハイマー型認知症を発症し、暴言や奇行に加えて弄便を繰り返すようになりました。

世話をしていた義姉が精神的にまいってしまい、義兄が夫に義母を預かってくれないかという話を持ちかけてきたのが1年前の夏、夫が再雇用の期限を迎え退職する数カ月前でした。

夫の実家の周辺には義母が入居できるような介護施設もなく、義兄によれば首都圏の我が家なら病院や施設の選択肢も多く義母が適切な治療を受けられるとのことでしたが、体のいい押し付けなのは見え見えでした。

気の優しい夫はそれを受け入れましたが、私は我慢できませんでした。次男の嫁である私は、これまでにさんざん義母からひどい仕打ちを受けてきたからです。

夫は「母さんには施設に入ってもらって俺が世話をするから」と言いますが、40年以上仕事ひと筋だった夫に、介護など務まるはずがありません。なぁなぁで手伝わされ、最終的に丸投げされたら堪らないと思い、家を離れる覚悟を決めました。