<前編のあらすじ>
史恵さん(仮名、55歳)は8年前の7月から夫の扶養を抜けて社会保険に加入し、パート勤務をしています。当初は保険料負担を重く感じ「本当に加入してよかったのか」と悩んでいました。
しかし、数カ月後に変形性股関節症を発症。療養で休んだ際に健康保険から傷病手当金が支給され、社会保険加入の意味を実感。しばらく病院通いを続けながら勤務していましたが、状態は年々悪化。ついに人工関節を入れる手術を受けることになりました。
働けなくなった場合の収入に不安を抱いた史恵さんは、人工関節が障害年金の対象になる可能性があると知り、年金事務所へ。そこで障害厚生年金を受給できることが分かりました。
●前編:「保険料の負担が重い…」社会保険加入を後悔していた55歳パート女性、人工関節手術で知った「加入の本当の意味」
障害厚生年金を受給するための前提条件とは?
公的年金の障害年金については、障害基礎年金と障害厚生年金があります。障害基礎年金は障害等級1級と2級を対象とし、障害厚生年金は障害等級1級・2級だけでなく、3級の場合も対象となります。手術によって股関節に人工関節を入れると、原則、障害等級3級に該当するとされています。つまり、障害基礎年金は対象になりませんが、障害厚生年金の対象になります。
その障害厚生年金を受給するためには、初診日(障害の原因となる病気・ケガで初めて医師等の診療を受けた日)に厚生年金被保険者であることが前提条件となっています。史恵さんの初診日は8年前の7月に厚生年金に加入してしばらくした10月なので、厚生年金加入中に初診日があり、この要件を満たします。その他受給に必要な保険料の納付要件も満たしていることが確認され、障害厚生年金を受給できるようになります。
史恵さんがもし社会保険に加入せず、扶養に入ったままの場合は、初診日時点で厚生年金未加入ということになり、障害等級3級の状態であったとしても、その時点で障害厚生年金は受給できないことになります。
