<前編のあらすじ>

新婚間もない友梨さん(34歳)と高給取りの会社員・紀之さん(47歳)。紀之さんは元妻・美稀さん(45歳)との間に中学1年生の子・怜さん(13歳)がいる再婚家庭です。幸せな新生活が始まったばかりでしたが、突然、紀之さんが病気で亡くなってしまいます。

収入面に不安があり、遺族年金で今後の生活を支えたいと考えた友梨さんは、年金事務所に相談に訪れます。しかし職員から「しばらくは遺族年金が支給されない」と告げられ、「私は収入も多くないし、紀之さんの妻なんですけど。どうしてそうなるんですか?」と困惑してしまいます。

●前編:「遺族年金が受けられるはず…」新婚3カ月で夫が急逝、生活不安を抱く34歳妻に職員が告げた「衝撃の事実」

遺族基礎年金が受けられる人は?

遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金があります。遺族基礎年金は亡くなった人に生計を維持されていた①配偶者か②子に支給されることになります。ただし、②の子とは18歳年度末までの子(高校生までの子)、あるいは一定の障害のある20歳未満の子になります。そして、①の配偶者は②の子と生計が同一であることが条件です。生計維持とは、亡くなった人と遺族が生計同一であること、遺族自身が収入要件(年収850万円未満など)を満たしていること、いずれにも該当していることを指します。

亡くなった紀之さんの死亡当時、配偶者は友梨さん、子は怜さんです。しかし、紀之さんと同居し、収入も少ない友梨さんは、紀之さんに生計を維持されていたことにはなりますが、面識もない怜さんとは生計が同一ではありません。そのため、①には該当しないことになります。一方、②については紀之さんと怜さんは別居していました。しかし、生前、養育費の仕送り等(経済的援助)や音信があったので、この場合でも生計同一と認められることになります。そして、怜さんは中学生で、収入がありません。このことから、怜さんは紀之さんに生計を維持されていた子となります。

よって、遺族基礎年金については友梨さんには受給権がなく、怜さんに受給権が発生します。ただし、子の遺族基礎年金はその子にとっての生計同一の父または母がいると支給停止となります。怜さんは母・美稀さんと暮らし、生計同一のため、このまま怜さんの遺族基礎年金は支給停止となり、結局、怜さんにも支給されないことになります。

もっとも、2028年4月の改正で、子の遺族基礎年金は生計同一の父母がいても支給停止されなくなります。つまり、怜さんの遺族基礎年金は2028年4月分から支給されることになります。2028年4月時点で怜さんは高校1年生。高校を卒業する2031年3月分まで支給されることになるでしょう。