<前編のあらすじ>

78歳の佐藤健一さん(仮名)は、地方都市で美容室を営みながら、79歳の妻、55歳の長女・法子さんと3人で暮らしています。

法子さんは2度の離婚を経て実家に戻り、パート収入はあるものの生活費を入れず、稼いだお金の多くを“推し活”に使っていました。さらに厚生年金に加入した期間がなく、将来もらえる年金額にも限りがあります。

夫婦の金融資産は約2000万円。夫婦2人なら老後は成り立つはずでしたが、娘の扶養が続く限り仕事を辞められません。もし働けなくなったら……佐藤さんの不安は募るばかりです。

●前編:「この子がいる限り、仕事は辞められない」78歳父の苦悩“子ども部屋おばさん”の終わらない扶養

親の老後を圧迫する“中高年未自立”という現実

佐藤さんのような悩みを抱える家庭は少なくありません。就労していても非正規雇用が中心で、安定した収入や社会保障がなく、親の援助に依存しているケースも多いのが実情です。

法子さんの場合、いわゆる引きこもりではなく働く力やある程度社会に順応することができている状態ですので、最低限自分一人で生活できる収入を確保することが目標です。

パートやアルバイトでも、働く時間を少しずつ増やしながら最低限生活できる程度の収入を増やしてみます。

近年は適用拡大により、一定の条件(勤務時間や賃金、事業所規模など)を満たせば、パート・アルバイトでも厚生年金に加入しやすくなっています。厚生年金に加入すれば、将来の年金額を増やすことができます。

また、金銭感覚を育てる意味でも、毎月の収支を自分で管理する、家に一定額を入れるといったルールを設けることが重要で、場合によっては家から出て行ってもらうのも一つです。