<前編のあらすじ>
東京都在住の会社員、杉浦晃一さん(仮名・52歳)の叔母が、70代で突然この世を去りました。祖父母に溺愛されて育った叔母と、それに反発して上京した父との間には深い溝があり、杉浦さん家族とも疎遠な関係が続いていました。
しかし叔母の急死後、遺言書を必死に探す杉浦さんの前に、思いもよらない人物が現れます。叔母の葬儀で見かけた見知らぬ男性で、弁護士でした。その弁護士が持参した叔母の遺言書には、全財産を宗教団体に譲るという衝撃的な内容が記されていたのです。
●前編:【「あまりに衝撃的」急逝した70代独身の叔母が残していた“まさかの遺言”、数億にのぼる全財産を受け取った驚きの相手は…】
「蝶よ花よ」と育った叔母の波乱の人生
亡くなった父の実家は、中部地方で食品加工の事業所を経営しています。自宅の隣に工場を兼ねた本社がある小規模な事業所ですが、このところのインバウンド(訪日外国人観光客)需要で人気化した商品もいくつかあり、それなりに繁盛していたようです。
事業所の代表は父の妹に当たる70代の叔母でした。叔母は父方の祖父母が40代になってから生まれた子供で、父とは10歳以上年齢が離れていたこともあり、祖父母から蝶よ花よと大切に育てられたと聞きました。
そのせいか物事が自分の思い通りにならないとすぐにかんしゃくを起こしたりして、周囲は腫れ物に触るように接していました。エキセントリックな言動で親戚やご近所とトラブルを起こすことも少なくなかったようです。
父はそんな叔母とも、叔母を溺愛して何でも言いなりの祖父母とも距離を置き、大学進学時に上京してそのまま東京でサラリーマンになりました。
祖父母が亡くなった時には事業所や個人の財産は全て叔母に譲り、事業所の経営にも一切口出しはしませんでした。もちろん、叔母との交流は全くなく、私や弟がリアルに叔母に会ったのは祖父母の葬儀の時だけです。