社長のひと言で芽生えた違和感

田中悠真さん(仮名・22歳)はインフラを手がける中堅企業に新卒入社しました。業績は好調で、将来性に惹かれたといいます。採用担当者は物腰が柔らかく、よき相談相手でもありました。

しかし、入社式で田中さんの期待は不安に一変します。

「君たちはもう学生じゃない。甘ったれるな!」

社長の怒声が響く中、社員たちはただ無言で聞くしかありませんでした。会社の急成長を支えていたのは、社長の強烈なリーダーシップだったのです。周りは社長に口を出せなくなっていました。田中さんは直感的に「自分には合わない」と感じたそうです。

さらに研修が始まると、違和感は確信に変わりました。

•    社長の言葉を一字一句書き取らされる
•    10時間を超える研修では、休憩なし・水分補給禁止
•    エレベーター禁止、すべて階段移動
•    研修中は携帯電話を預けさせられ、外部との連絡も制限

「これは研修ではなく、洗脳じゃないか」と田中さんは思ったそうです。

また社員寮という閉ざされた環境もあって、自分の力では辞められないと感じた田中さんは、退職代行サービスに連絡を入れました。

●数日で退職を決意した田中さんは、その後どうなったのでしょうか? 後編【「これは研修ではなく、洗脳じゃないか」入社即退職を決めた新卒社員…真面目な性格ゆえに抱えた悩みと罪悪感】で詳説します。

※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。