<前編のあらすじ>

結婚後、専業主婦を続けている62歳の真奈美さん(仮名)。毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」で将来の年金見込額を確認していましたが、62歳を迎えたある日、定期便がぱたりと届かなくなりました。「あれ、おかしいなぁ。毎年欠かさず来てたのにどうしてなんだろう?」と疑問に思った真奈美さんは、不安を抱えながら初めて年金事務所を訪れます。

職員より63歳から受け取れる特別支給の老齢厚生年金(特老厚)の額や、65歳から受け取れる老齢基礎年金・老齢厚生年金の額について説明を受け、想定内の金額に安心した真奈美さん。しかし、なぜ定期便が届かなくなったのかという疑問は残ったままでした。職員が確認したところ、真奈美さんの年金加入記録が理由だと判明します。

●前編:【毎年届く「ねんきん定期便」が突然途絶えたのはなぜ? 将来を案じる62歳専業主婦を襲った不安と疑問】

61歳までねんきん定期便が届いていた理由

ねんきん定期便は、年金加入記録・受給見込額などについての被保険者へのお知らせとされています。35歳、45歳、59歳の節目年齢に届く定期便は封書で送られ、過去の全ての年金記録が詳細に記載されているのに対し、それ以外の年齢で届く定期便はハガキ形式となります。

ハガキ形式の定期便に表示される加入記録は直近13カ月分となっています。その定期便は誕生月(1日生まれの場合はその前月)の2カ月前に作成され、作成日の2カ月前までの13カ月の記録が記載されています。つまり、誕生月から見て4カ月前までの13カ月間の記録が表示されることになります。60歳の誕生月に届いた定期便は58歳8カ月~59歳8カ月までの加入記録が表示されていたことになります。

真奈美さんは専業主婦で国民年金第3号被保険者だったのですが、60歳になると第3号被保険者ではなくなり、国民年金への加入義務もなくなります。その第3号被保険者期間として計算されるのも60歳になる前月(59歳11カ月)までとなります。引き続き会社員の夫の健康保険の扶養に入っていたとしても、年金の扶養は60歳になると対象にならないことになります。

しかし、60歳になると年金の被保険者ではなくなるにもかかわらず、61歳の誕生月に定期便が届きました。これは、61歳誕生月の4カ月前から直近13カ月間は59歳8カ月~60歳8カ月になり、59歳8カ月~59歳11カ月までの国民年金の第3号被保険者期間(加入義務のある期間)4カ月が含まれていることが理由です。その4カ月間の第3号被保険者としての加入期間が記載された定期便が61歳の誕生月に届いたのです。

しかし、62歳の誕生月では、その4カ月前から直近13カ月間(60歳8カ月~61歳8カ月)に年金の加入期間は全くありません。そのため、定期便は届かなかったことになります。引き続き年金に未加入となると、定期便はもう届かないことになるでしょう。