<前編のあらすじ>
独身の会社員・絵里香さん(仮名、38歳)は、両親を早くに亡くし、叔母の雅美さん(68歳)と良好な関係を築いてきました。独身の雅美さんは年金の繰下げ受給を予定して働き続けていましたが、急に体調を崩して入院し、数カ月で亡くなってしまいます。
雅美さんにとって唯一の親族であった絵里香さんは、雅美さんの死後手続きを担う中で、ふと年金のことが気になりました。「たくさん働いて保険料も払ってきたのに。これ、全部掛け捨てになってしまうのかな……」と心配になった絵里香さんは年金事務所へ相談に行きます。すると職員からいくつか質問を受けた後、絵里香さんに年金の手続きがあることを知らされます。
●前編:【「たくさん働いて保険料も払ってきたのに」繰下げ待機中に亡くなった叔母の年金はどうなる? 姪の疑問に年金事務所が伝えたこと】
3親等内親族が請求できる未支給年金の仕組み
会社に勤めていたことがあると、65歳からの老齢基礎年金や老齢厚生年金を受け取ることができ、長く会社に勤めていた雅美さんもその対象となります。その亡くなった人の年金で受給していない分は、遺族に未支給年金として支給されることになっています。その未支給年金を請求できる遺族は①配偶者、②子、③父母、④孫、⑤祖父母、⑥兄弟姉妹、⑦①~⑥以外の3親等内の親族となります。請求できる遺族の優先順位は①②③④⑤⑥⑦の順。亡くなった雅美さんから見て、①~⑥の人はいません。⑦に該当する姪の絵里香さんだけはいました。そのため、絵里香さんがその未支給年金の請求権者となります。
未支給年金の請求については、亡くなった人と請求権者となる遺族の生計が同じであることが条件で、絵里香さんと雅美さんは別住所で暮らしていましたが、生前、絵里香さんは雅美さんのもとへたびたび見舞いにも行き、音信・訪問や経済的援助があったことから生計が同じと認められそうでした。
