年金制度改正法によって、遺族厚生年金の受給権者が老齢年金の繰下げができるようになりますが、その改正の施行は2028年4月となります。しかし、改正前の今、その遺族厚生年金の受給ができるようになった場合でも、考えなくてはならないことがあります。

夫を亡くした妻が抱いた経済的な不安

華恵さん(仮名、56歳)は勤続35年の会社員である夫の聡さん(58歳)と暮らしており、長男と長女はいずれも大学を卒業後に社会人となり、別で暮らしていました。聡さんは65歳まで働く予定で、それを前提としながら、夫婦の老後の計画も立て始めていました。

しかし、そんな中、聡さんが突然病気により亡くなってしまいました。聡さんの生前は扶養に入り、パート勤務をしていた華恵さん。年収1000万円の聡さんが亡くなったことで、これからの生活費のことが気になります。「夫にも私にも貯蓄はあるけど、夫の給与収入がなくなる分、世帯の収入が激減するなぁ」と不安になる華恵さん。聡さんの葬儀を済ませた後、遺族厚生年金が受給できると聞きます。