<前編のあらすじ>
43歳の会社員、長谷川亮太さん(仮名)は資産家の家に生まれました。祖父が築いた財産を守り抜いた父が、昨年85歳で他界。遺産相続を終えた直後、まだ71歳だった母が急死します。ところが母の相続手続きを進める中で、税理士から衝撃の事実を告げられました。母に、亮太さんより9歳年上の異父姉がいたのです。
母の遺産は3億円。法定相続人には異父姉も含まれます。税理士が異父姉の住む地方都市まで足を運ぶと、彼女は「あの人とは一切関わり合いたくない。もう連絡してこないでください」と拒絶。相続の意思がないと安心した亮太さんでしたが――。
●前編:【資産家一家に「もう1人の子供」の存在が発覚…3億円をめぐる想定外の相続トラブルに巻き込まれた43歳長男の衝撃】
母の急逝で判明した異父姉の存在
父が85歳で亡くなってから1年余りで今度は母が急逝しました。母は父より15歳年下で持病らしい持病もなく、女性の平均寿命以上に生きるのではないかと思っていたので、残された私や妹は大きなショックを受けました。
両親は母の勤めていた夜の店で出会って結婚したそうですが、母は「親に勘当された」そうで、両親や兄弟姉妹、出身地の話は聞いたことがありません。母の素性は謎に包まれていたのです。
しかし、四十九日の法要を終えて相続の手続きを進める中で、母の戸籍を集めていた税理士さんから、母に私たちの他にも子供がいたことを聞かされました。私より9歳年長の異父姉で、私たち兄妹にとっては母の死に加えて二重のショックとなりました。
父の遺産を相続した母には3億円ほどの遺産があります。税理士さんから相続税対策で甥(妹の長男)を母の養子にする提案を受け、来春を目途に養子とする話が進んでいましたが、まだ手続きには取りかかっていませんでした。したがって、母の法定相続人は私と妹、そして異父姉ということになります。
