税理士の調べで明らかになった母の過去
そして、面会の際に異父姉から投げかけられたのが「あの人とは一切関わり合いたくない。もう連絡してこないでください」という辛辣な言葉でした。
税理士さんがその後調べたところによると、母は高校時代、かなり“やんちゃ”だったようです。卒業を前に妊娠が判明したのですが、相手は暴走族。地元の名士だった母の実家は猛反対しました。しかし、母は勘当されても出産、結婚する道を選んだのです。
しかし、数年後に結婚相手が事故死。母は幼かった異父姉を養護施設に預けて上京し、最初の数年は手紙や誕生日のプレゼントなどが届きましたが、以降はぷっつり音信がなくなったとのことでした。
異父姉はその後、子供に恵まれなかった実父方の親戚の養女となり、結婚して2人のお子さんをもうけ、今は地元の図書館で司書として働いていました。ただ、自分を捨てた母や、何ら救いの手を差しのべることのなかった母の実家には「許せない」という思いだったようです。
とはいえ、「関わり合いたくない」は私たち兄妹にとっては朗報でした。そこで一旦は私と妹とで母の遺産を分ける形にして遺産分割協議書を作成し、異父姉には手数料として10万円ほどを用意した上で、税理士さん経由で異父姉に届けて署名、捺印をしてもらおうとしたのです。
異父姉は税理士さんに「関わり合いたくない」だけでなく、「あの人の遺産などビタ一文要らない」とも言っていたそうで、私たちは既にこの件は解決したくらいの気持ちでした。しかし、それは“ぬか喜び”に過ぎませんでした。
