FPとして家計相談を行っていると、「お金を使ってしまう」という相談もあれば、「お金を使いたくても使えない」という相談もあります。普段から節約志向でしっかり資産形成をしてきた人ほど怖くてお金を使えない傾向があるようです。今回は、そんな悩みを持つ46歳誠さん(仮名)ご夫婦の解決事例をお伝えします。
年収も資産もあるのに、お金を使えない
誠さんは年収800万円の会社員、妻のみなみさんも会社員で年収400万円、現在の運用資産残高は2800万円あります。世帯年収も資産額も一般的に高い水準と言えるでしょう。
しかし、生活レベルは決して高くありません。普段から夫婦で節約を心がけ、積立投資で資産形成に励んでいます。誠さんは毎月10万円、みなみさんは毎月7万円をNISAで積み立てています。
それに加えて、ボーナスは家電や家の修理など大型支出に充当し、家族旅行1回分の費用を除き、残りはほぼ投資に回しています。
毎月15万円の住宅ローンを支払い、別途、お子さんの教育費も保険でしっかり積み立てています。それでいて家計の積立額は17万円ですから、無駄がないことがよく分かります。
誠さんは、住宅ローンを急いで返済しようとは思っていない様子で、「このまま65歳まで計画通り返済を続けていこうと思っています。教育費はジュニアNISAと保険で1人600万円ほど貯まる予定なので、足りると思います」と話します。
確かに住宅ローンの金利は上昇傾向とはいえ、まだ1%程度です。急いで返済するより運用を優先した方が有利と言えます。教育費についても600万円あれば、大学の学費としては充分です。高校3年生の塾代や受験費用が高額になる傾向はあるものの、お二人の収入であれば乗り切ることができるでしょう。