<前編のあらすじ>
立川賢吾さん(仮名、43歳)は高校を中退し、アルバイトも続かずひきこもり状態に。父親(74歳)と激しい対立が続いたことから別居となり、月23万円の援助を受けて生活しています。
しかし両親は会社役員の父親の退任を控え、援助継続が困難になりつつあります。そこで家族面談を行い、筆者が節約や就労支援、障害年金などの様々な解決策を提案しますが、賢吾さんは全てを拒否してしまいます。
●前編:【43歳ひきこもり息子「両親が何とかするのが当たり前」月23万円援助し続けた高齢親がついに限界を迎えたワケ】
一生涯の援助費用はまさかの「1億円超え」
筆者は「両親が賢吾さんの一生涯の生活費と家賃を負担した場合、どの程度のお金が必要になるのか?」を試算しました。
仮に賢吾さんが男性の平均寿命の81歳まで存命とすると、81歳-43歳=38年。
生活費と家賃で月額23万円×12カ月×38年=1億488万円になることが分かりました。
「1億円を超えるのですか!」
あまりの金額の多さに母親は驚きの声を上げました。
父親は役員まで登り詰めたので、両親の貯蓄はそれなりにあるそうです。それでも父親の貯蓄は7000万円、母親の貯蓄は2000万円。1億円には届きません。
すると父親は険しい表情のまま言いました。
「私たち親にも今後の生活がありますから、貯蓄のすべてを賢吾に使うわけにはいきません。他に何かよい方法はありませんか?」
「そうですね。この際、同居を考えてみてはいかがでしょうか? そうすれば生活費は抑えられますし、家賃の負担もなくなります」
この提案に母親は首を左右に振りました。
「それは難しいと思います。今まで何度か検討したこともあるのですが、主人と賢吾がすぐに喧嘩を始めてしまい、同居は無理だという結論に至っているからです」
「なるほど……。そうなると、別の対策を検討する必要がありますね」
そこで筆者は次の提案をしてみました。